今回お話しするのは、いよいよインナーストーリータロットの最後の物語「金の鍵」です。これは、かの有名なグリム童話の最後を飾る物語でもあります。短いお話ですが、とても印象的で素敵な物語です。それでは、あらすじを見ていくことにしましょう。
むかしむかしあるところに、貧しい少年がいました。
凍えるような冬空の下、 薪集めをしていた少年は、雪の下に金の鍵を見つけました。
鍵があるならば錠前があるはずだ、と雪を掘り続けると、鉄の小箱が見つかりました。
「わあ」と少年は思いました。しかし、なかなか鍵穴は見当たりません。あきらめずに探していると、とうとう小さな小さな穴を見つけました。
鍵はぴったり合いました。少年は、鍵をぐるっとまわし、小箱のふたをゆっくり開けはじめます。
私たちは少年がふたを開けるまで待たなければなりません。そうすれば、小箱の中にどんなに素晴らしいものが入っているか分かることでしょう。
いかがですか? 物語の「終わり」とも「始まり」とも取れる、不思議なお話だと思いませんか?
この物語は、「幸福」や「希望」を意味しています。小箱をあけると、そこには枯れることのない希望があふれている――そんなポジティブなイメージを私たちに与えてくれるのです。
もしもあなたがこのカードを引いたなら、あなたは今ひとつの「区切り」を迎えているはずです。願いごとが叶ったり、目標を達成できたり、場合によっては残念な結果を手にしているかもしれませんね。けれども、物語の「章」が終わって、また新しい「章」が始まるように、あなたはその「区切り」と同時に、新しいスタートを切ろうとしているはずです。そんなあなたの背中を、この物語はそっと後押ししているのです。
さあ、これでインナーストーリータロットのすべての物語を話し終えました。最後にもう一度、冒頭の文章を皆さんに読んでお聞かせしたいと思います。
美しい物語は、豊かな心をつくる
哀しい物語は、優しい心をつくる
恐ろしい物語は、強い心をつくる |
物語は私たちにたくさんのことを教え、不思議なパワーで心を満たしてくれます。もし今、あなたが不安な気持ちでいっぱいなら、どうか物語に答えを求めてみてほしいのです。
ページをひらけば、登場人物たちは生き生きとよみがえり、たえず私たちに何かを伝えようとするでしょう。そう、彼らはあなたがページをひらくのを待っているのです。どうかあなたのそばでひっそりと眠っている物語に、息吹きをあたえてあげてください。
|